雨乞いの神様が祀られている「青木女体神社」

 香川県さぬき市の南側、阿讃山脈にそびえる標高774mの長尾女体山の山頂にある「青木(あおき)女体神社」は、雨乞いの神様が祀られています。

 この神社についてこんな言い伝えがあります。

 昔、さぬき市にある志度で玉取りに来た藤原房前(ふじわらのふささき)に仕えていた女官がいて、房前が帰った後もこの女官は志度に残り海士の修行をしていました。その後さぬき市の造田住んでいる人と結婚し、この女の人は普通の人と肌が違っていたので、「女体さん」と呼ばれるようになりました。

 その後、男の子が生まれ、この子が成長した後に農業に励んで働いていましたが、田畑の水不足に悩まされることがよくあったそうです。水不足に悲しんだ母親は、「私が百歳になったのちに、水神となって農家に水を与えよう」と願いました。

 この母親の死後、造田にある青木と呼ばれる山に祠(ほこら)を建てて遺体を葬りました。生きていた時の願いのためか、雨が降らない時に人々が集まって、この「青木女体」に雨を念ずると必ず降ったそうです。

 その後、祠がさぬき市長尾南部に移されましたが、その後、東讃エリアで最高峰の矢筈山の東にある山に移りました。この祠の付近に生息しているイワバミ(多和ヤモリ)はこの女体さんのお使いだと言われています。

 また、この女体山にある女体宮に続く参道の「一の鳥居」が、さぬき市前山地区にある「道の駅ながお」近くにあります。 

■場所:長尾女体山の山頂 

 長尾女体山について『女体山・矢筈山ハイキングコース』をご覧ください。

関連した史跡・風習など

・「青木女体神社跡地」

 女体神社が、さぬき市造田にあった場所近くにある石碑。

■場所:さぬき市造田(市道造田滝の宮線沿い青木池前)

・「一の鳥居」

 昔、さぬき市前山地区にある中津と呼ばれる場所に住む人たちが、雨乞いのために長尾女体山を登るのに、必ずこの鳥居の下をくぐっていました。

■場所:さぬき市前山地区(前山ダム)

・昔行われていた「雨ごい裸踊り」

 昔、多和周辺地域で、女体山の山頂にある「水神さん」の祠のまわりで、雨乞いをするために、火を焚きそれを囲んで一糸まとわぬ農夫が踊り狂うという奇祭が行われていました。祭りの後、必ず雨が降ったそうです。

<参考文献>

「改訂 長尾町史(下巻)」1986年 長尾町史編集委員会

「第25号 2001年度 ふるさと長尾―文化財研究紀要―」 長尾町教育委員会 平成14年3月

「ふるさと長尾 歴史の町・新しい町・長尾」長尾町